アクティブバランスシーティング(以下ABS)について
シーティングについての考え方について紹介させていただきます。 ある講習会でABSの考え方について教えていただいたため紹介させていただきます。 【座ることによる効果】 ・脳の活性化(高齢者の場合、ボケ防止のための重要な要素) ・離床を促す ・褥瘡予防 ・誤嚥性肺炎の予防 ・廃用の予防 があります。 【座位に関する研究より】 ①側弯から複合的な座位くずれが見られた ②介助者の使いやすさに合わせて車椅子が設定されていた(過度なティルティング) ③嚥下機能に改善がみられていた ④モジュラー型車椅子使用により活動性が増した。 があります。 【ABS の姿勢モデルと提供する機能】 骨盤支持、胸郭支持、頭部支持の3つの姿勢モデルを定義しています。 座った姿勢の残存機能の活用と正常化を促進するハムストリングス、脊柱起立筋、僧帽筋 の各起始部近傍の「主となる支え」と除圧や生活のための動きおよび呼吸などの生理的機能を阻害しない非侵襲性の支持を人体の各部位の物性に合わせ提供する「従となる支え」を定義しています。 解剖学的肢位に近づけることが推奨されていて、その背景にはブレース理論があり、姿勢づくりは骨盤から上に向かって修正していくとしています。 姿勢修正の特性ではそれぞれ… 頭、頚椎 }姿勢判断の指標 胸郭 }構造的に強い(外力に対し) ※成長期に容易に変形しやすい 腰椎、骨盤 }構造上弱くくずれやすい 下腿 }躯幹姿勢に影響を与える それぞれの特性に分離調整可能なことが重要。 身体特性に見合う特性で姿勢調節すべき 【詳細について】 ・骨盤支持モデル 体幹運動の自由度を高めるために、骨盤を下肢設定とともに安定化をはかります。 骨盤の支持のためにはハムストリングス起始近傍の支持を明確化します。 さらに骨盤の後側方をささえる骨盤サポート・ベルトの配置により骨盤の左右方向の安定性を高めます。 ※骨盤サポートベルトはランバーサポートとは異なります。 ハムストリングスの拘縮がある場合には、解剖学的肢位の膝関節角度では骨盤を後傾させる力が発生するので、この影響が生じない範囲で下腿を屈曲に保ち骨盤を境として下肢と躯幹の分離をはかります。 上記の下肢の設定では下肢の拘縮を招くと否定される向きもありますが、体幹の自律的な動きを優先し、日常生活の移動運動から下肢の機能化が重要で、この条件が得られる限り拘縮は進みません。 胸郭支持モデル 胸郭に変形のたるケースでは、従来の骨盤の正しいアライメントを優先した対応では、頭部が左右あるいは前後に落ち復帰することが難しくなります。 骨盤部の支持は、3点支持と異なり、正反対の凸側に骨盤下肢と骨盤以上の質量がバランスするように、テコの支点として作用する位置に定義します。支点周りの身体各部の質量とモーメントを意識した設定で、重力ファクターを敵にまわすのではなく、胸郭以上の自然な伸展に利用することが可能となります。 頭頸部支持モデル 頭頸部支持モデルでは僧帽筋起始近傍を支えます。 【終わりに】 ABSでは頭頸部の良いアライメントを実現するために、頭頸部以下を重力に逆らわず、むしろ重力を利用し骨盤後側方の支点以上が自然に伸展するようにバランスを整えることがテーマになります。
by kentarou591124
| 2011-06-04 01:40
| 勉強(講習会)
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